2022.03.14 コラム フィレンツェ美術学院(Accademia di Belle Arti)を卒業した遠藤なつきさん(20代・女性)の体験談
敷居が高いと思われがちなイタリア国立の美術学院。
今回はフィレンツェのAccademia di Belle Artiを卒業した遠藤さんに体験談をいただきました!
入試や大学の様子など、事細かにご説明頂きましたので、ぜひご参考ください。
Q1.どのようにして入学されたのですか?
1年間まずはフィレンツェの語学学校(Scuola Toscana)へ行き、語学を集中的に学んだ後、美術学院を受験しました。
私はDecorazioneという学部を選び、絵画から空間アート、ファッションまで幅広く学びました。
日本の美術大学と比べ、受験では、技術より感性を重視してくれるので、今から美術を学びたい全ての方にイタリアの美術学院”Accademia di belle arti”をもっと身近に感じて欲しいと思い今回体験談を書いています。
Q2.入試はどのようなものがありましたか?
全部で入試は4日間あります。
最初の二日間は外国人限定の語学試験です。1日目は教授が美術史に関する文章を読んでいるのをイタリア語で書きとる試験です。(ディクテーション)比較的ゆっくりだったので簡単だったのを覚えています。2日目は口頭試験で、好きなアーティストについてや日本でやっていたことなどを聞かれました。
翌年受験した方に話を聞いたところ、フィレンツェの美術史について書く、という記述試験もあったようです。
以前はB2レベルのイタリア語能力を所持している人は語学試験を免除されるというルールがありましたが、近年、B2レベルを所持している場合も語学試験が必須になりました。
実技は3日目からです。
学部によって内容は違うのですが、私の場合は、テーマに沿ってコラージュをし、ポスターを作るといったものでした。材料は基本自前を持ち込みです。
4日目はポートフォリオを持っていき、それについて先生に説明をするという試験でした。実物も持っていくと話が弾み、説明がしやすくなります。その他には、なぜこの学部を選んだのか?などを聞かれました。
そして数日後、学校のサイト上で合格発表という流れです。
ちなみに絵画コースは3日目にヌードデッサンの試験、インテリアデザインコースは家具の配置などのイメージ図作成の試験、4日目はどの学部も同じみたいです。
Q3.ストレートで卒業は難しいと聞きますが、遠藤さんは三年で卒業出来ましたよね。試験などはどのような感じだったのですか?
2月• 6月• 9月に試験期間があります。何月に試験を受けるかは自分で決めることが出来るので、自分のペースで単位を取っていくことが可能です。(早く卒業したければ飛び級も可能)
1年目に外国人限定の試験(イタリア美術史)があり、この試験を最初に合格するのは必須となっています。
個人的にはコミュニケーション能力が何より必要だと感じました。教授と積極的に話して距離を縮めることで、沢山のアドバイスをもらうことが出来ます。実技の試験では特に、完成形より過程を重視されます。日頃から教授へプレゼンテーションをし、自分の作品や考えについて理解してもらうことがとても大切なのです。
Q4.クラスの人数や大学の様子をお聞かせください。
私の学部decorazioneは1クラス20人くらいで2クラス/1学年と、わりと少人数でした。
絵画の場合は人数は多く、5クラスくらいあるみたいです。全体としては、日本人は大学院も含め、2人しかいません。(2022年3月現在)
席が空いていれば、他の学部の科目を取ることも可能なので、学部に囚われず自由に学ぶことができます。
Q5.卒業後のご予定は?
Accademiaを卒業すると1年間の滞在許可がもらえます。その間に仕事を探したりインターンしたりする方が多いようです。
私はやりたいことが沢山ありますが、中でもインテリアデザインやショーウィンドウデザインをしたいと思っており、ミラノへ行く予定です。
美術学院は専門学校と比べ、企業との結びつきが弱いので、現地で働きたい場合は大変かもしれませんが、学費が安く、コースが幅広いので、学びの場としては満足しました。
街選びに関しては、ボローニャやミラノの学校は質が良いと聞いたことがありますが、どの美術学院もレベルはそこまで変わらないと個人的には思います。ただ、フィレンツェの美術学院は外国人慣れしているので、事務(滞在許可証の手続きに必要な書類など) の対応は迅速でありがたかったです。そういった面ではミラノ、ローマ、フィレンツェといった、外国人が多く住む街の美術学院を選ぶと良いかもしれません。
Q6.これから美術学院を目指している方へメッセージお願いします!
美術学院 ”Accademia di Belle Arti” は国立ということもあり、敷居が高いと思われがちです。しかし実際には、語学と学びたい意欲さえあれば大丈夫です。まずは語学を勉強し、諦めずにぜひチャレンジしてみて欲しいです。
また、国立美術学院以外にもデザインの私立学校や、短期の絵画教室など沢山の選択肢があります。中身をしっかり確認し、現地で実際に見てみたり、色々な方に話を聞いたりしてから決めてみて下さいね。少しでも皆様のお役に立てれば嬉しいです。
遠藤さん、ありがとうございました!
美術学院と調べただけでもたくさん似た学校が検索結果として出てきますよね。まずはイタリア語もしくは英語で検索してみましょう♪
Accademia di Belle Artiは日本語のサイトはありません。そのためにはまずは語学が大切です。語学ができるようになれば間違った選択はしないはずです。
アドマーニでは美術学院のサポートはできませんが、ビザのサポートを有料で行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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