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2024.07.31 コラム イタリアの“推し”パート2 意外と問題児!?フィリッポ・リッピ

前回のコラムで私の”イタリアの推し”、ウフィッツィ美術館にある、「聖母子と二人の天使」に描かれた聖母マリアの紹介をしました。


『聖母子と二人の天使』1450年-1465年頃 ウフィッツィ美術館 フィレンツェ

この絵を描いたのはフィリッポ・リッピという1406年にフィレンツェに生まれた画家です。
フィリッポ・リッピは「フラ」フィリッポ・リッピとも呼ばれます。「フラ(Fra-)」とは、修道士の名前の前に付ける呼称です。つまり、彼は修道士であり、画家でもあるということですね!こどものころに両親を失った彼、修道院に引き取られてそこで修道士として育ったのです。
敬虔な中世のイタリアカトリック教会。規律を重んじ、まじめに、粛々と… と思いたいけれど、彼はそうでもないらしい。残念ながら(?)女好きで破天荒、度々騒ぎを起こす問題児だったそう。
「聖母子と二人の天使」の絵も、なんだかんだ曰くつきの一枚。
こちらの聖母マリアのモデルは、妻のルクレツィアであると言われています。あれ?修道士なのに妻…??ちょっと疑問ですよね。
なんと、リッピは、絵のモデルとなった30歳も年下の修道女ルクレツィアに恋をし、誘い出すことに成功。そのまま駆け落ち同然で子供ももうけているんです。
当然、このことは大問題になり、修道院を出入り禁止に。彼の芸術の才能を高く評価していたコジモ・デ・メディチのとりなしによって、なんとか正式に夫婦になることができた…というわけです。うーん波乱万丈。

でも、そんなトンデモ人生を送ったフィリッポ・フィッピだけど、なるほどこの絵からは実に妻へのアモーレがにじみ出ているように見えませんか?破天荒で女好き…でも、誰よりも女性の美を見出して表現する能力に長けていたのかもしれないですね。


ウフィッツィ美術館 フィレンツェ

この絵だけでなく、堅苦しそうなキリスト教の主題を描いた作品も、作者や聖書について知ると見方がぐっと変わって面白いですよ!芸術大国イタリアへ行くときは、せっかくなので見るだけでなく、ちょこっと深堀して知ってくださいね。

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