2015.06.01 学校・卒業生へ訪問! 【現地インタビュー】山越さん(Scuola del cuoio カバン製作)
2015年1月から、アドマーニを通して、フィレンツェにあるカバン製作専門の学校「Scuola del cuoio」に通う山越さんが
快くインタビューに応じてくれました!
山越さんは、もともと手作りの革カバンの製作についての仕事の経験があった方です。
今回山越さんは、革製作の本場、イタリアのフィレンツェにて、さらに職人としての技術を極める為に、
フィレンツェの革カバン製作専門学校「Scuola del cuoio」への留学を決めたのは昨年のこと。
既にご結婚されていらっしゃるため、留学への覚悟は相当なものだったと思います。
そんな山越さんの授業の様子をまずは観察させて頂きました。
フィレンツェのサンタクローチェ教会の真裏という、素晴らしい場所にあるこちらの学校。
学校はすでに中世にタイムスリップしたかのような美しさです。
そんな中、山越さんを発見!
ミシンで革を縫っているところでした。
やり直しがきかないところなので、一番集中しなくてはいけないところだそうです。
一通り見せて頂きました。
小さなボストンを作っていらっしゃるところでした。
かなり丁寧に縫っていきます。
他の生徒さんの様子。
一生懸命それぞれが自分の作品作りに集中しておりました。
好きな革を使って、課題のパターンでカバンを作るのですが、大きさやアレンジは自分で決められるので
みなさん自由に好きなカバンを作っていました。
スタッズがついているバッグを作ってますね。かわいいです。奥の巾着型のバッグも気になる….なんて言っている場合ではございません。
でも皆さん各々自分色にアレンジしたバッグを作っていて、大変興味深かったです。
台湾、中国、東南アジア地域、ヨーロッパ諸国からの生徒が非常に多いそうです。
台湾や中国は、手作りの革カバンという概念が存在しなかった為、今多くの生徒がイタリアに学びに来ているようです。
そんな山越さんに貴重な数分お時間を頂き、お話をお伺いさせて頂きました。
山越さんは今年1月にフィレンツェに到着、そして1ヶ月だけ語学学校「Scuola Leonardo da Vinci」に通いながら、この学校に通い始めました。
山越さん「もともとコースは1月からで、英語で授業を受けられると聞いていて、僕も英語で授業を受けることはできたのですが
村川さんからイタリア語1ヶ月の授業は受けた方がいいと言われたんです。なので1ヶ月だけ語学学校に通うことにしました。
今実は授業中もすべてイタリア語で受けて、イタリア語で生活をしています。英語でなんとかなると思っていましたが、やっぱりイタリアなので
イタリア語が一番大事だと痛感しましたね。語学学校に行ってからは、なるべくイタリア語を使う努力をしました。」
最初は英語を使っていた山越さんも、イタリアで生活をするにあたり、イタリア語が話せないと生活が難しいこと、
そして授業中でも英語よりイタリア語を使った方が良いと判断し、かなり積極的にイタリア語を使う努力をしたそうです。
私「学校の印象はどうですか?」
山越さん「本当に楽しく学んでいます。やりたかった事が実現できた、という満足感もあります。講師は2人いて、一人は日本人、そしてもう一人はシンガポールの方。二人ともかなり長く講師をやっていて教え方も非常に上手です。日本人の講師に関しては、一切日本語を話しません。授業はイタリア語で行われます。英語が必要な方は英語でも指導をしてくれます。もう、本当一人一人に細かく教えてくれて、分からないところも何度も何度も繰り返し教えてくれる非常に良い講師達です。
僕は半年のコースに通っているので、もう4ヶ月目。あと2ヶ月で帰らないといけないんです。それを思うと今から本当に寂しい気持ちになります。」
私「延長して工房で働こうとか、そういうことは考えたりしませんか?山越さんなら働けますよね!」
山越さん「実は僕は結婚していて、妻を日本に残して来ているんです。どうしても半年終えたら帰る、という約束の元で留学をさせてもらっているので、残りたくても残れない。すごくフィレンツェが好きになり、また工房もどこにでもある。そしてここ(学校)でインターンもやろうと思ったらできる…これもまたもどかしいんです。」
と話してくださった山越さん。せっかく慣れたイタリアでの生活、そしてもっとカバンをイタリアで作りたいという気持ちも強くなってきたようで、かなり寂しい表情をされていらっしゃいました。
私「今後日本ではどのような活動をされるご予定でしょうか?」
山越さん「確実にカバンは作り続けます。僕は男だから、女性がどういうカバンが好きかとか、流行の色、形とか、もっと研究していかないといけないなと思っています。作るのは好きなんですが、オシャレとかまったく僕無縁なんで…。なのでそういうことをもっと研究しながら、今回学んだ技術を活かして、手作りでしかできないようなカバンをもっともっと日本で作って行きたいと思っています。」
Scuola del cuoioは半年にかなりのパターンを教えてもらえます。
その応用で、結局はどんな形のカバンでも作れるようになるので、その後の将来に大きく役に立つ、と山越さんはと言います。
この4ヶ月で作った山越さんの作品の数々を、ご自宅で見せて頂きました!
なんと、4ヶ月でこんなにたくさんのカバンが!
こんなにいっぱい作られたんですね〜。
おもむろに手に取った眼鏡ケース。
「実はこれが一番最初に作ったものなんです。まずはここから始めるんですよ」と山越さん。
その次は左隣のお財布、そして上のカードケースを作っていくのだそうです。
こんなクラシカルなボストンバッグ。女性らしいフォルムで素敵です♡
ご自身でこうして並べてみたのは初めてらしく、「なかなか気がつかないもんですね。こうして並べると自分のミシン使いが上達していることに気がつきました。気がついて良かったです(笑)」と山越さん。
ふと横に置かれていたこのカバン。私はずっと山越さんの私物バッグだとばかり思っていたのですが、これも山越さんが作ったものとのこと。
オシャレで素敵です!やはり使いやすい大きさで、山越さん自身も結構気に入って使っていたようで、結構年季が入っていたようでした。
「山越さんっ!これ、ちゃんとしょっているところを撮った方でいいです!」
と背負ってもらい(半ば無理矢理)撮らせて頂いたお写真です。山越さん、本当に優しくして頂きありがとうございます…!
「あの、そしたらこれも是非いいですか?」と優しい山越さんに、更なるお願いして撮らせて頂いたこのカバンも、
ヨーロッパらしいクラシカルなデザインで
革質も綺麗に出ていて素敵です。山越さんご本人も気に入って留学中に結構使っているそうです。
そしてカバン職人に一番大事な職人道具も見せてくださった山越さん。
左側の道具では、革を織り込んだりする道具で、右側が革を切る道具だそうです。
持ち方まで教えてくれる優しい山越さん。道具の使い方は一番大事なところなので、学校でかなりひとつひとつ丁寧に教わったと仰っていました。
私「今回一番苦労をしたと感じたところは何でしょうか?」
山越さん「やはり言葉です。慣れるのに本当に時間がかかりました。事前にイタリア語は絶対に勉強しておいた方がいいです。僕も1年独学でやっても、慣れるのには本当に時間がかかりました。なので今後来られる方には、英語が通じると思っていてはダメだと思って欲しいです。
イタリア語ができて、イタリア文化、こうした皮製作においての理解をもっと深めることができる。またイタリア語ができると、教師が言っていることが更に理解できるんです。ですのでイタリア語を是非頑張ってらいたいです。
学校ではかなり親切に講師達が一生懸命教えてくれます。なので学校で言葉以外に苦労を感じたことはそんなにないですね。とにかく楽しいです。」
貴重なアドバイス、本当に感謝です!
残り2ヶ月しかありませんが、やれるだけの事はやって日本に帰ります!と仰る山越さん。
作品をひとつひとつ説明してくださる山越さんの活き活きとした様子から、この留学が本当に実りのあるものであることが
とても良く伝わって来ました。
貴重なお時間を頂き大変ありがとうございました、山越さん。
今後の大いなるご活躍を心よりお祈りしております!
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